【第4話】
電話を切った後、義母は呆然としていた。「私…こんなバカなことを…」
「お母さん、自分を責めないで」私は義母の手を握った。「今は前を向いて、この問題を解決することに集中しましょう」
その日の午後、私たちは警察に相談に行った。詐欺対策の専門家が対応してくれた。
「こういったケースは増えています」刑事は深刻な表情で言った。「被害を最小限に抑えるためにも、もう少し証拠を集める必要があります」
私たちは警察の指示に従い、「健太郎」とのやり取りを続けることにした。義母の代わりに私が連絡を取り、会話を録音。送金の証拠も集めた。
数日後、「健太郎」から新たな要求が来た。
「お義母さん、僕たちの新生活のために、もう少しお金が必要なんです。最後にもう500万円だけ…」
私は警察と相談しながら返事をした。「分かりました。でも今度は直接会ってお渡ししたいわ」
「健太郎」は少し躊躇したが、最終的に同意した。
待ち合わせ当日。私は緊張で体が震えていた。警察は周囲に配置されているが、もし何か予想外のことが起きたら…
そして、約束の時間。
カフェに現れたのは、写真で見た男性とは全く違う中年の男だった。
「お義母さん?」男が近づいてきた。
私は震える声で答えた。「ええ、私よ」
男が私の前に座ろうとした瞬間—
「動くな!」鋭い声と共に、警官たちが一斉に現れた。
男は驚愕の表情を浮かべ、逃げようとしたが、すぐに取り押さえられた。
その場で逮捕される「健太郎」を見ながら、私はほっと安堵のため息をついた。
しかし、これで全てが解決したわけではない。
警察署で事情聴取を受けた後、家に戻った私と義母。
「お母さん、お金のことだけど…」私が切り出すと、義母は悲しそうな顔をした。
「ほとんど戻ってこないでしょうね。私、これからどうすればいいのかしら…」
義母の言葉に、私は決意を固めた。これからの義母の人生を支えるのは、私の役目だ。
でも、その前にやるべきことがある。
「お母さん、明日にでも弁護士に相談に行きましょう。きっと何か方法が…」
その時、突然インターホンが鳴った。
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