【第2話】
義母の家に入ると、リビングで落ち着かない様子の義母が私を待っていた。
「坐りなさい」と義母が言う。その声には、いつもの強さが感じられない。
「一体何があったの?」私は恐る恐る尋ねた。
義母は深呼吸をして話し始めた。「実は、3ヶ月前にSNSで知り合った人がいるの」
その瞬間、私の頭に「元彼」という言葉が浮かんだ。
「その人、優しくて素敵な方なの。でも…」義母の声が震える。
「まさか、その人が私の元彼だっていうの?」
義母はうなずいた。「彼の名前は健太郎。あなたの元彼と同じ名前だったから…」
私は困惑した。確かに元彼の名前は健太郎だった。でも、まさか義母と…?
「どうやって知り合ったの?どんな人なの?」
義母は健太郎との出会いや、デートの様子を語り始めた。しかし、その描写は妙に曖昧で、具体性に欠けていた。
話を聞くうちに、私の中で違和感が膨らんでいった。
「写真を見せてもらえる?」
義母は躊躇した後、スマートフォンを取り出した。そこに映っていたのは、確かにハンサムな男性だった。でも…
「これ、私の元彼じゃない」
義母の顔から血の気が引いた。
「どういうこと?」
その瞬間、義母のスマートフォンが鳴った。画面には「健太郎」の名前が表示されている。
私は直感的に受話ボタンを押した。
「もしもし、お義母さん?今日の夜、会えますか?大切な話があるんです」
電話の向こうから聞こえてきたのは、知らない男の声だった。
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