【全編5話】記憶喪失だった母が、殺人事件の容疑者として逮捕されました

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【3話:謎を紐解く手がかり】

岸本さんの話は衝撃的だった。

「私は、あなたのお母さんの弟です」

母に弟がいたなんて、聞いたことがない。

「15年前、姉さんは突然姿を消した」

岸本さんの表情が曇る。

私は母の日記のことを思い出した。

「15年前の8月17日に、何があったんですか?」

岸本さんの目が大きく見開かれる。

「その日に…姉さんは婚約者を殺したとされているんです」

頭が真っ白になった。婚約者?殺人?

「でも、証拠不十分で不起訴になった」

そう言って岸本さんは古い新聞記事を見せてくれた。

そこには確かに母の若い頃の写真が。

「なぜ今になって…」

私の問いに、岸本さんは深くため息をついた。

「婚約者の遺族が、再捜査を要求したんです。新たな証拠が見つかったらしくて…」

岸本さんは続けた。「姉さんは事件後、私たち家族とも連絡を絶ちました。でも、最近になって姉さんの記憶喪失のことを聞いて…もしかしたら、あの事件と関係があるんじゃないかと思ったんです」

突然、携帯が鳴った。警察からだ。

「奥山さん、お母様が…」

電話の向こうの声に、私は思わず受話器を落としそうになった。

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