【3話:謎を紐解く手がかり】
岸本さんの話は衝撃的だった。
「私は、あなたのお母さんの弟です」
母に弟がいたなんて、聞いたことがない。
「15年前、姉さんは突然姿を消した」
岸本さんの表情が曇る。
私は母の日記のことを思い出した。
「15年前の8月17日に、何があったんですか?」
岸本さんの目が大きく見開かれる。
「その日に…姉さんは婚約者を殺したとされているんです」
頭が真っ白になった。婚約者?殺人?
「でも、証拠不十分で不起訴になった」
そう言って岸本さんは古い新聞記事を見せてくれた。
そこには確かに母の若い頃の写真が。
「なぜ今になって…」
私の問いに、岸本さんは深くため息をついた。
「婚約者の遺族が、再捜査を要求したんです。新たな証拠が見つかったらしくて…」
岸本さんは続けた。「姉さんは事件後、私たち家族とも連絡を絶ちました。でも、最近になって姉さんの記憶喪失のことを聞いて…もしかしたら、あの事件と関係があるんじゃないかと思ったんです」
突然、携帯が鳴った。警察からだ。
「奥山さん、お母様が…」
電話の向こうの声に、私は思わず受話器を落としそうになった。
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